秋色を庭に切り取る。
枝払い
落ちて転がり
柿ひとつ
耕して
落ち葉入れたる畑なり
西日当たりて風は秋
この夏を
乗り越えてこむらさき
実を染むる
仲間みな
猛暑に花をつけぬ秋
こやつばかりが生きて残れる
夏の過酷さで、あるいは大発生した害虫で、ありとあらゆる庭の花々が枯れ行く中で、コムラサキとヤブランだけが秋紫の花をつけてくれた。
けれどコムラサキはバッタのせいで果実が小さく、葉もたえだえにあえぐようにしおれている。
暑さにめげぬヤブランも、今年ばかりはわずか日陰のこの株だけがちゃんとした紫色で、あとは白っぽかったり、親株などは今年は首さえ伸ばさない。
そればかりか、夏の害虫のアオバハゴロモは、まだそちこちの枝を白い綿毛で包もうとする。
柿の葉も色づくというのに、果実は五つばかりで、落ちてきたひとつだけが完熟。あとはまだ緑色だったり、いびつだったり、小さかったりだ。
庭には毎日のように落ち葉が積もる。秋なのだ。
間違いなく秋は来ているのだ。
けれど、
外気は蒸し暑く、花壇を耕す顔からは、ぼたぼたと汗がしたたり、むーんとした南の湿気を含んだ風は、やがてくる台風のフェーン現象であることを感じさせる。
九月は人の心のように天気が変わりやすい。
本当の秋は10月になるのだろう。
それはいつものことと、ここ南国ではわかっているのだけれど、
もうじき中秋というのに、あきれてしまう残夏のしつこさには辟易してしまう。
天高し
天高けれど
馬肥えず
そっと汗を拭く
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